画像色彩研究会からのお知らせ

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2017年3月1日(水) 2017年3月4日(土)2016年度研究発表会ならびに研究会総会開催のお知らせ

日本色彩学会 画像色彩研究会
2016年度研究発表会ならびに研究会総会開催のお知らせ

主査 鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)

下記のとおり研究発表会ならびに研究会総会を開催します。ぜひご参加ください。

日時:2017年3月4日(土)
研究発表会:13:00〜16:10 研究会総会:16:20〜17:00
終了後懇親会を催します(17:30〜19:30)
場所:国立新美術館3階研修室A(東京都港区六本木7-22-2)
会費:無料.
参加申し込み:下記問合せ先までお願いいたします。懇親会参加の有無も合わせてお
知らせください。
問合せ先:画像色彩研究会 担当幹事 望月宏祐
Email:sigci-event@sigci.sakura.ne.jp FAX: 0268-39-0002(長野大学望月宏祐宛)

●研究発表セッションI(13:00〜14:00)
座長:室屋泰三(国立新美術館)

1) デジタルアーカイブ用CGシステムのオンラインサーバの試作
辰野直哉,木村薫平,櫻井千寛,田中法博(長野大学)
本研究では,小諸城を対象に大規模な建造物の文化財デジタルアーカイブコンテンツ
を分光ベースのCG技術で映像復元する.分光ベースのCGシステムは,適切な照明環境
を実装すれば,高い色再現精度で建造物の外部や内部を詳細にCG再現できる.このと
き仮想空間内に複数のユーザが同時参加できれば,当時の城郭の様子を複数のユーザ
が他のユーザと連携しながら場内の様子を鑑賞できる.CGコンテンツ内を複数のユー
ザが同時に参加して鑑賞できるオンラインシステムを試作する.本稿では,そのサー
バ部分の実装方法について報告する.この結果,デジタルアーカイブした小諸城内を
複数のユーザが連携して参加できるようになった.

2) 画像計測に基づいた漆材の光反射特性推定法
望月宏祐,足立優奈,田中法博(長野大学企業情報学部),
李元貞(畿央大学健康科学部)
本研究では,棗漆器を対象に画像計測に基づいた光反射特性を定量的に推定する手法
を提案する.このとき棗の円筒に近い部分を円筒形状と仮定して画像情報のみから光
反射特性と照明方向を推定する.本稿では,新たに円筒形状を仮定した反射特性推定
用のモデル式を構築し,そのモデルパラメータとして漆器の反射特性を推定した.こ
の手法を用いて,計測は漆のほかにウレタン,カシューなど他の材質や,刷塗りや吹
き付けなど塗り方が異なるものを対象として計測した.この結果,漆材と他の材質の
間に推定値の違いが見られた.最後に推定したモデルパラメータを用いて分光ベース
で3DCG再現した.

●研究発表セッションI(14:10〜15:10)
座長:鈴木卓治(国立歴史民俗博物館)

3) 絵画画像の色彩の構造を離散的に捉えるための試行
室屋泰三(国立新美術館)
絵画画像をはじめとする色彩画像の色変化の特徴を計量的に捉えることを試みてきた。
本研究では色彩画像を色相、明度、彩度について分解して画面を領域分割し、その領
域間の関係を考えることで色変化の特徴を捉えることを試みる。十分高い解像度のデ
ジタル画像を用いることで、筆致一つ一つを判別できるほどの小領域までの分割が可
能となる。提案手法はこれまでに行ってきた完全正規直交系を用いたアプローチと異
なり、筆致のひとつひとつを追跡するような方法であり、完全正規直交系の規則的な
分解によって生じるアーティファクト(偽変化)を避けることのできる手法となるこ
とが期待できる。発表ではポール・シニャックの点描技法による作品などを題材に提
案手法について考察する。

4)「色彩の感情表現」試料アーカイブの設計
〜オンライン・データベースのUIデザインについて〜
粟野由美(東京造形大学)
1950年代から2000年にかけて日本の芸術系大学にて実施された「色彩による感情表現」
という課題に対する作品(回答)1500点余のデータベース化に取り組んでいる.前回
は初期の304点収録時点で,1)計量心理学的研究対象としての固有性, 2)情報環境の画
像記録としての全体性, 3)20世紀後半の色彩教育のひとつの特徴を示す系譜として,試
料の有用性を検討した.今回は,その後追加収録した250点余を含む550点余から構築し
たオンライン・データベースの設計について、情報デザインの観点から検討し、報告
する.収録試料のなかには詩的な散文や小論文を添付したものが多く含まれ,それらは
1)について多様な手掛かりを提供する一方で,色と言葉が双補完的に存在することで、
「色彩」と「感情」の経路の複雑さも示している.こうした試料群から計量的観察に
適した要素抽出をする考え方も整理しておきたい.

●総合討論(15:20〜16:10)
●研究会総会(16:20〜17:00)

以上.

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