くらしの色彩研究会からのお知らせ

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2018年7月23日(月) 2018年7月21日(土)川澄未来子先生講演会「感性工学と色彩」

2018年7月21日(土)川澄未来子先生講演会「感性工学と色彩」 

 名城大学ナゴヤドーム前キャンパス西館2Fレセプションホールにて、くらしの色彩研究会主査・名城大学理工学部情報工学科准教授の川澄未来子先生による講演会「感性工学と色彩」を開催した。
 川澄先生は、豊田中央研究所にて、比類なき快適性と高品質を追求するとして開発された高級セダン「セルシオ」が誕生した時代に感性品質の研究に携わった後、愛知淑徳大学を経て2011年より現職に就き、感性工学を専門とされてきた。今回は感性工学とは何かという説明から、これまでの研究成果の解説と現在進行中の研究のお話をして頂いた。
 感性工学とは人の感覚や感性をものづくりに活かすことであり、対象とする領域は色や視覚だけではなく五感全てだ。自動車で例を挙げると、外装や内装の質感や見栄え・座り心地やエンジン音、ドアの閉まり音、加速感などが対象となり、今現在に感じるマイナスの要素を取り除き、より魅力的と感じるよう開発されるという。こういった開発には人間の感性やユーザビリティの評価が必須となる。機械では計測不可な事象を人の感覚では認識できることも多々あり、最終的には人の感覚の計測・定量化が必要となるそうだ。川澄先生のこれまでの研究成果の話を聞いて、先生が数々の感覚を顕在化してこられた軌跡を知ることができた。
 これまでの研究成果としては、「電化製品ボディカラーとしてのシルバーメタリックの色味とそのイメージに関する研究」・「インターホンパイロットランプ 赤以外の色についての検討」・「睡蓮の花びらの色とイメージ」の研究の3つを解説していただき、人の感性は国籍・性別・年代によって差異があることがわかった。
 さらに2件の現在進行中の研究の話では、ディープラーニング・AIを活用した研究や、環境・安全・社会に貢献できる新しいモビリティの研究など、さらに面白い未来の話を聞くことができた。感性工学がさらに発展していくことで、人間の生活が快適になるだけではなく、より魅力的で楽しいものになるのではないかと期待がふくらむ講演だった。





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日本色彩学会
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