環境色彩研究会からのお知らせ

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2009年10月26日(月) 景色通信Vol.19『富士は遠くで眺める山か』

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景色通信Vol.19
『富士は遠くで眺める山か』

 「フジヤマ、ゲイシャ、サクラ」は、かつて外国人が日本のイメージは?と問われて描く代表だった。私たち日本人の多くは、北斎の「富嶽三十六景」や広重の「富士三十六景」を何度となく見て育ってきた。日本一高い山であるがゆえに、天気の良い日はかなり遠くからでも拝むことができる信仰の山だ。富士見坂、富士見町、富士見橋などが近所にあるとしたら、今はともかく昔は富士山を仰ぎ見ることができたポイントということになる。銭湯で見る富士の峯から裾野にかけての雄姿はいつ見ても天晴れな感じがする。私たちの心の中にある富士山を世界遺産として認めて頂くにはどうしたらよいのか。自然環境の保全に留まらず、山荘ロッジを少し改良して、その歴史や心の中に聳える富士山の文化も一緒に堪能できる山行を体験できるような工夫はどうであろうか。6合目辺りから目に映る焦げ茶色の「導流堤」。いわゆる落石防止や土石流などから登山者を保護するものだが、緑もない標高になり火山岩で荒涼とした斜面では、麓より時折響く演習場の爆裂音も加わって、恐ろしいほどの重厚感がある。されど苦行の末、山頂に立って雲の上から見下ろす景色は、何度登っても気分爽快なのだ。(加藤進久)









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日本色彩学会
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